2011/08/28

鳥人間コンテストに思うこと。


今月19日に「IWATANIスペシャル 鳥人間コンテスト2011 34th JAPAN INTERNATIONAL BIRDMAN RALLY」が放送された。スポンサーをしていただいてる岩谷産業様様である。

今までと違いダイジェスト抜きの編集という新しい放送形態を持ってきた。去年まではダイジェストは可哀相だなーと思って居たけれども、そのダイジェストさえ無くなってしまい鳥人間コンテストをテレビでしか見ない人には、あれが全てのチームのように見える。

大会に出るためには審査を通過しなければならない。倍率はそこまでではないが倍率だけでは語れない難しさがある。大会に出場しているチームは謂わば"選ばれたエリート"でもあるのだ。

審査の結果が出てしまえば、あとは出場するチームを純粋に応援している。せっかく出場したにもかかわらず、番組に全く映らないというのは寂しい。嫌らしい話、交通費やらなんやらでそれなりのお金も掛っているのだし。

2chのロシアの鳥人間コンテストのニュースのスレでは「日本のは本気過ぎ」だとか、「前の飛ばなかったおふざけころの方が面白かった」という声があった。



そう思われてしまうのもやむを得ないと思う部分はある。しかし、このあたりのさじ加減はテレビ局側が握っているのだ。どのチームをブログで日々情報発信をしているが、放映の力には勝てない。

F1と少し同じ匂いがすると思う。技術は以前と比べれば向上して、争いはモータースポーツのように高度化してきてはいる。しかし、大部分においては昔とは殆ど変わってはいない。
まず、製作は殆ど手作業だし機体へのロゴ掲載などスポンサー行為は禁止されているので資金面で苦労しているところもある。

あの長い翼だって、スライスした断熱材から魚の小骨みたいなパーツを切り出して、軽量化のために穴を開けて1つ1つ桁(パイプ)に接着剤で固定していく。そのあと補強材を貼り付けて、しわの出来ないように透明のフィルムを貼るという作業を30m分繰り返すのだ。


昔に比べたら随分と飛行機らしくなってきた今の機体は、地道な手作業によって作られてるのだ。
おふざけ大会と違ってきちんと空力設計を行なっている。しかし、その設計も教科書通りには行かない。
理想と現実とのギャップだ。
機体を設計するのは大抵の場合各チーム1人だけで、極端な話それ以外のメンバーは飛行機の知識などなくてもできなくはない。どちらかと言えば熟練工のようなものだ。



琵琶湖に舞う美しい機体を飛ばすために、1年掛けて泥臭い作業を行なっている。
「なぜ泣いているのか分からない」というクレームがテレビ局に来たこともあるらしい。1日のために1年間頑張ってきて記録が出なかったときに泣かない人間がいるだろうか。

甲子園で負けたから泣くというのは分かる人は多いのに、なぜか鳥人間コンテストは理解してもらない。
泥臭い部分が視聴者を含めた、自分達以外には伝わりにくいからだ。ぜひこの部分をテレビ側には拾って欲しい。

テレビはエンターテイメントである。そこに技術的評価を上手く盛り込んで鳥人間コンテストをやって欲しい。部室はない金沢大学はとても可哀相だが、機体だけならもうちょっと上手く作れているチームはあるはずだ。
2チームしかゴールできなかったタイムトライアル部門も1チームを除いて、ディスタンス部門強豪チームばかりでなのにあの結果である。(例外の1チームを出したのはミスとしか思えない)
それほど難しい部門であるということがどれだけ伝わっただろうか。

ディスタンス部門は風が強敵だ。人力飛行機のパワーではどうやっても風に流されてしまう。昨年の優勝チームは風が強くなり条件が悪くなる、最後に飛ぶことになっているがそれに言及しただろうか。



技術立国日本を作っていく若者が頑張ったことをエンターテイメントの名の下で踏みにいじらないよう努めて欲しい。そう思ったバードマンは多いと思っている。

ちなみに、「鳥人間」は商標第4776282号 で登録されいる読売テレビ放送株式会社の登録商標です。

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